【初心者向け】バックカントリーにおける基本装備と応用装備|安全と自由の第一歩
バックカントリーに興味を持ったとき、まず気になるのが「どんな装備が必要なの?」ということ。
この記事では、バックカントリーを始める上で絶対に欠かせない「基本装備」と、状況に応じてプラスすると安心な「応用装備」について、ガイドの視点からご紹介します。
❄️ なぜ「装備」が重要なのか?
バックカントリーは、整備されたゲレンデとは異なり、誰も管理していない自然のフィールドです。
雪質、地形、天候、リスク……すべてが自分たちの判断に委ねられます。
そのため、装備の選択は安全に直結します。
「楽しさ」の前提には、しっかりとした「備え」が必要です。
ほどんどハイクをしないで滑れるサイドカントリーとよばれるゲレンデ近くのバックカントリーエリアでも装備が必要です。(サイドカントリーでも必須となる装備には※を記してあります。)
必要な装備を見極めてバックカントリーを楽しもう!
🎒【基本装備】これがなければ山に入れない!
1. ビーコン(雪崩トランシーバー)※
万が一の雪崩に巻き込まれた際に、自分の位置を知らせたり、仲間を探すための必須アイテム。
機能:発信(SEND)と受信(SEARCH)の切り替えができる
重要ポイント:必ず正しく装着して使用すること、もってても使えなかったら意味がない!
参考:定期的な電池交換ともってても使えなかったら意味がないので操作訓練を!

2. プローブ※
雪に埋まった人を特定するための「探知棒」。
使い方:ビーコンでおおよその位置を特定後、雪を突き刺して埋没者の位置を正確に探る
選び方:長さ270cm以上がおすすめ
3. ショベル※
埋まった人を救助するために必須。軽さより強度と操作性が大事。
素材:アルミ製が軽くてベター(プラスチックはNG)
ポイント:ブレードの肩の部分に幅があると踏みやすい


4. クライミングスキン or スノーシュー
登りの移動手段。スキーやスプリットボードの裏に貼る「滑り止め」がスキン。一枚板のスノーボードの場合はスノーシューを使って登ります。
スキー派:クライミングスキン+ツアービンディング
スノーボード派:スプリットボード or スノーシュー
5. ストック(伸縮ポール)
ハイク時に使用。スキーヤーは滑走時にも使用するがスノーボーダーは滑走時は使用しないため伸縮するポールがマスト。
グリップする場所が幅広くなっていたり、ヒールリフトが上げやすい仕組みになっているものが使いやす。
帰り道などででてくる平坦な場所はストックを使用して滑ることもあります。


6. ザック(バックパック)※
装備一式+行動食+水分を収納。背面アクセスタイプが便利。アバランチギアが入るポケットが付いているバックカントリー専用のものを選択すること。
容量の目安:25〜35L(この容量があれば番亭のワンデーツアーまで対応します。)
雪崩エアバッグ付きモデルも選択肢に

7. ウェア・防寒装備
レイヤリングが基本。汗冷えを防ぐのが命を守るポイント。
レイヤー例:ベースレイヤー+ミドルレイヤー+シェル(ウェア)
ポイント:綿素材ではなく、化繊やウール素材のものを選ぶのがベター。ちなみに冬に人気のヒート○ックは乾きづらく基本山ではNG。
こちらについては奥が深いので、別で記事を書きたいと思っています!

8.グローブ・ゴーグル ・サングラス
快適に行動するために必須アイテム。
グローブ:5本指のグローブがあると作業性がUPして良い。革製のものが耐久性があっておすすめ。
ゴーグル:天候の変化が激しいため、自身の眼にあった視認性のよいものを選ぶこと。
サングラス:ゴーグルをつけてハイクすると滑走時に曇ってしまう確率が多いため、サングラスでハイクが基本。
9.行動食+水分
行動中のエネルギー補給のため。
バックカントリーツアーではお昼ご飯休憩といった時間はとりません。各々で休憩時に食べたり、飲んだりしていただきます。
行動食:パンやチョコレートなど凍りにくいものがおすすめ。おにぎりを持ってくる場合は保温ケースにいれるなど工夫すると良い。
水分:ハイシーズンは500ml〜1L、春は1L〜2Lを用意。また、寒い時期は保温ポットにお湯を入れて持っていくのもおすすめ。
🧭【応用装備】状況に応じてプラスしたいギアたち
1. ファーストエイドキット
自分と仲間を守るために。
最低限でも持っていたい:絆創膏、テーピング、痛み止め、保温シートなど自身に必要なもの選定。
2. ヘルメット
滑走中の雪崩・転倒に備えて。バックカントリーでは軽量モデルが人気。
3. エマージェンシーギア
ツェルト(簡易テント)、バッテリー、ライター等。万が一のビバークにも備える。
また、ロープやカラビナなど緊急時に必要な道具もある安心。(訓練や使い方など熟知している必要があります。)
4. GPS or 登山用スマートウォッチ、紙地図とコンパス
地形判断や現在地の把握に便利。紙地図と併用が理想。
5. 無線(トランシーバー)
グループでの滑走時に役立つ通信手段。視界不良時や分散滑走の安全性向上に。
6. 雪崩エアバッグ
雪崩に巻き込まれた際、雪面への浮上をサポートする緊急装備。
使用には練習が必要
価格・重量ともにハードルは高めだが、安全性は◎
⛷️ まとめ|装備は「自由に楽しむための土台」
バックカントリーの魅力は、整備されていない自然の中で、自分の感覚を頼りに行動する“自由”にあります。
でもその自由は、しっかりと準備した人にだけ与えられるものです。
装備を整え、使い方を理解することは、あなた自身と仲間の命を守る「最低限のマナー」。
番亭ツアーでは、「なにを持つか」だけでなく、「どう使うか」まで含めて、ぜひ一歩ずつ一緒に学んでいきましょう。
※10月よりツアー申し込み受付、セット券販売開始予定